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50年後を予言した?今だからこそきちんと読みたい「デビルマン」※ネタバレ

少年の頃、永井豪氏の漫画「デビルマン」
大きな衝撃を受けました。

週刊少年マガジンに1年ほど連載され、
単行本では5巻完結となっています。

ちなみにテレビアニメも同じ時期に始まりましたが、
原作のアニメ化とは程遠く両者は全く違う作品です。

デーモン(悪魔)と人類を扱っていて、
背景が壮大なこともあり、
今読んでも全く古さを感じさせません。

それどころか、コロナ禍の
今を予言していたのではないかと思われるほど
描写が随所に見られます。

デビルマンの作者永井豪氏について

永井豪氏は、

「ハレンチ学園」
「あばしり一家」

等を少年誌に連載したことで
名を馳せましたが、

その内容と描写が少年向けとしては
あまりにも衝撃的であったため、
道徳的な面から多くの批判もありました。
(女性の裸体や殺戮シーンなどが
ダイレクトに描かれていたためです。)

しかし、デビルマンの発表によって、
人気作家としての評価を確実なものに
したと思っています。

永井氏がその後の漫画界や
SF界に及ぼした影響は
計り知れないものがあります。

漫画を60年近く読み続けてきた
私からみると、

「鬼滅の刃」も
「進撃の巨人」

底に流れているテーマは同様のもので、
さらにデビルマンの域を脱してはいない
感じています。

その意味ではSF漫画のベースを
創り上げた人であり、
デビルマンはその古典的な位置にあるといえます。

デビルマンのかんたんなあらすじ

人間の知らぬうちにデーモン(悪魔)が
人間の心身を乗っ取り、
地球上で人間に取って代わろうと目論みます。

合体された人間は、
デーモンの姿に変身してさらに
人間を襲うこともありますが、
日常的には家族や会社や学校の一員として
普通に生活をしています。

なので
誰が人間で誰がデーモンなのか
見た目ではわかりません。

そこに身体的にはデーモンの超能力を宿し心は人間のままというデビルマンが登場し、
人間側に立ってデーモンと闘っていくという物語です。

最後の方で主人公をデビルマンに導いた友が
わざと記憶を失って人間界に潜入していた
サタンであることがわかります。

最終的に人類は滅亡し、
デーモン対デビルマンの壮絶な闘いの末、
デーモンが勝利します。

このあたりの描写は黙示録的な壮大なスケール
描かれています。

自滅していく人間の集団心理

ストーリーが進むにつれ、
主題であるデーモン対デビルマンという話とは
別の側面が見えてきます。

それは「魔女狩り」にみられる人間の集団心理です。

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この物語の中では、
すべての人間が恐怖に支配されはじめます。

「自分もいつかデーモンに乗っ取られるかもしれない」
「ひょっとしたら目の前にいる人が
すでにデーモンなのではないか」

そしてついに

「デーモンであると噂されている人たちを暴徒と化した人間が襲う」

という場面に発展します。

人々は他の人を襲うという行為をすることで自らが人間であるという証明をするために、疑わしきを襲うという心理に陥ってしまうのです。

その渦中でヒロインの父親が

「人間はデーモンとの闘いではなく、自らの弱さによって滅びるかもしれない」

ということばを残しますが、
その父親はデーモンであるとの疑いをかけられ、
拷問死してしまいます。

そしてその娘のヒロインも「魔女」であるとされ、
近所の人達に家を包囲されて、
肉体を引きちぎられて
幼い弟とともに殺害されてしまいます。

主人公のデビルマンは、
ヒロインを助けるべく現場に向かいますが、
時すでに遅しでした。

読者にとって、
人間として最も身近な存在は
このヒロインなのですが、
デーモンにではなく、なんと人間の手で殺されてしまうのです。

コロナとデビルマン

潜伏期間が長く、
罹患しても無症状なことも多い新型コロナウィルスはこのデーモンの存在によく似ています

事実、学校や職場、医療機関等で
いわれなき差別を受けて困っている人たちの
ニュースが目立ってきています。

今一人ひとりが行うべき行動は
浸透してきていると感じる一方で

集団心理としての側面は
デビルマンにみられるものと同じ状況

であるのではと考えられます。

歴史上、実際に行われていた
「魔女狩り」は集団ヒステリーによるもの
という説もあるようですが、

歴史的に見ても人類の試練となっている今、
私達が学び進歩していかねばならないのは、
目の前のウィルスとの闘いだけではないように感じます。

まとめ

永井豪「デビルマン」
  • デビルマンはデーモンの超能力と人間の心を持つ
  • デーモンとデビルマンの闘いを通じて人間の深層心理を浮き彫りにしている
  • 「魔女狩り」に見られる心理は現代に通じるものがある
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