みなさんこんにちは。
内山です。
スピーチをする際に、最も大切なことはなんでしょうか。
それは、スピーチでなければできないことを
考えていただければわかります。
今回は、人を惹きつけるスピーチの間の作り方についてです。
スピーチでなければ伝えられないこと
スピーチをするときに原稿を持ってきて読み上げる人がいます。
その事自体は内容的にもれなく話すという意味では良いのですが、
その方法で人の心に響くスピーチをするのは、
実は熟練したプロのアナウンサーとかでないと難しいのです。
裏を返せば、最も心に響かないスピーチの仕方であるといえます。
その理由は、「原稿の内容をただ伝える」という行為は、
スピーチだからこそできる要素を省いてしまっているからです。
「伝わる文章」と「伝わるスピーチ」とでは根本的に違います。
文章は
「読み手が時間と場所と読み方を決めて、
書き手が何を伝えたいのかをイメージする」といった仕組みです。
一方スピーチは
「話し手の話し方や所作によってそこに居合わせた聞き手に
何が伝わるのかが決まる」ものです。
なので、原稿をただ読むという行為は、
本来読んだほうが良い文章をだらだらと読んで聞かせている、
つまりは、受け手の理解の自由を奪いながら、
情報を与えているだけの行為といえます。
スピーチは、内容もさることながら、
その場で聞き手の心を動かす話し方を
身につけることが重要なのです。
裏を返せば、内容以前に
「スピーチで人を引き寄せるコツ」が
わかっていないとどんな素晴らしい内容でも
聞いてもらえないことになります。
漫才から「スピーチの間」を学ぶ
すぐれた漫才師はネタが始まる前から一瞬で
人を惹きつけています。
そして、ネタが始まり、
気づいたら大笑いしてしまいます。
例えば、大人気の千鳥さんの漫才などは、
大悟さんの単純なボケの単語を相方のノブさんが
繰り返しているだけのこともありますが、
それがはまると、こちらの笑いが止まりません。
漫才を見る前に
ネタの内容を原稿に書き出して読んでみても、
まったく笑えないでしょう。
それを支えている最も大きな要素は、
「話の間」
であると私は考えています。
落語でも、名人級の人のネタを
新人の落語家さんがやることもありますが、
同じネタを澱みなくやってもその差は歴然です。
その大きな違いは、新人はネタをこなそうとするあまり、
聞き手にとって心地の良い間のつくり方が身についていないと感じます。
スピーチもこれと同様で
どんな場面でも「間」をつくることで、
空気感をつくり上げていくことができると思います。
スピーチの間をつくるコツ
では、スピーチの最中にその間をどのように
作っていけばよいのでしょうか。
間といっても機械的に何秒とかいうものでは
ないことはもちろんです。
そのコツは「場の雰囲気を読む」ことと大きな関連があります。
話し手と聞き手が自然と良い間を
作り出していければ最高です。
列挙すると以下のようになります。
- 話し始める前に全体を見渡し観察し話の雰囲気と間をつくる…
○最後尾に位置する聞き手の中から興味のなさそうな人をひとり選んで観察します。
○導入の他愛もない話をその人だけに向かって話し始めます。(後ろに視線があるため、全員が自分に話しかけられていると感じます。)
○その人が落ち着いてこちらの話に耳を傾けるまで話し続けます。
○スピーチの最初はお互いの空気ができていないので距離感を考えずに話し始めてしまいがちですが、近くではなく遠くの人に話しかけることによって話のテンポと間が決まります。○人数や場所、環境や内容によって適切な間も違ってきますので空気を読むことを重視してください。 - 序盤は電話で話している雰囲気と間で話す…
○最初は大人数を意識して話すのではなく、それほど大きくない声で電話で友だちに話しているトーンと間で話し始めます。(人はスピーカーから聞こえてくる演説からは距離を取りたがりますが電話の話は聞こうとします。)
○このときは最前列にいる人に向けて相槌をうってみたりするのを混ぜると全体としてまとまりのある間をつくれます。 - 話が佳境に入ったらあまり間を取らずに自分のペースでしゃべりまくる…
○序盤で導入がうまくいくと聞き手は内容を聞きたくなってくるモードに入りますので、自分のペースと喋り方で話します。
○ときと場合にもよりますが言葉遣いとかはあまり気にせず大げさに話して大丈夫です。
○おとなしい感じの性格の人はおとなしく話せば良いですし、活発な方は大きな声で話してください。ここまでくればその人の間を聞き手が理解してますので、より個性が発揮されることが大切です。 - まとめは間を十分にとって話す…
○話の内容がまとめに入ったらゆっくり間をとって話します。メモを取っている人がすべて書ききれるくらいのスピード感が良いかと思います。 - 聞き手が飽きてきたら不自然に間をとって声を落とす…
○人の集中力は数分間しか持ちません。話が長くなる場合、殆どの方は聞いてもらおうと声を大きくしますが、これは逆効果です。むしろ、これまでとは不自然と思われるくらい間を取り聞き手がこちらを向くまで待ちます。
○話の再開時も声を小さくしてみてください。このことで、あたかも章立てが変わるか如く、聞き手の集中力をもたせることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
文章は、内容が全てですが、
スピーチは話し手の存在が最も重要です。
参考にしていただければ幸いです。
- スピーチは間が大切
- どんなに内容が立派でも上手な間をつれないと惹きつけられない
- 自分の個性を生かしながら遠くの人に話したり電話の話し方を取り入れたりすると自然と良い間ができるようになる
- 聞き手が飽きてきたらあえて不自然な間をつくる