みなさんこんにちは。
内山です。
ものごとがうまく行かないと落ち込んでしまい次に進めなくなることがあります。
人は「失敗」したときにはそのことで頭の中がいっぱいになってしまう習性があるので、
失敗をどのようにとらえておくか
は、とても大切なことです。
今回は失敗とうまく付き合うコツについてです。
セレンディピティとは
ペルシャの古い童話に「セレンディップの3人の王子たち」という作品があります。
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シャーロック・ホームズ顔負けの優れた洞察力をもつ王子たちがスリランカ(ペルシャ語でセレンディップ)を旅をしているときにいくつかの問題を解決していくお話なのですが、
後にイギリスの作家であるウォルポールがこの童話にちなんで、
「なにかを探したりしているときに偶然にも別の価値をみつけたり幸運なことに出会うこと」
をセレンディピティと名付けました。
セレンディピティが生じるきっかけはいうまでもなく
「失敗」
です。
失敗という出来事が成功や幸運に変わることがあります。
いくつか例を見てみましょう。
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人類初の抗生物質「ペニシリン」の発見
肺炎等の治療に用いられるペニシリンを発見したのはアレクサンダー・フレミングです。
フレミングは科学者にしては珍しく不精な性格で掃除もせずに実験の検体もあまり整理をせずに放置しておくことが少なくなかったようです。
1928年9月のこと、あろうことかブドウ球菌を培養するためのシャーレを放置したまま長期の旅行に出てしまいます。
環境が悪いところで菌を培養しようとすると他の雑菌がシャーレに入り込んでしまい
全く別の化学反応を起こしてしまうため実験は失敗とみなされます。
このときも、シャーレに青カビの胞子が入り込んでしまったらしく、青カビが丸く増殖し始めていました。
フレミングは、このシャーレを洗浄しようとしましたが、そのときに
「青カビできているまわりだけブドウ球菌が増殖していない」
ことに気づきます。
「ひょっとしたら青カビの中に菌を殺すなにかの成分が含まれているかもしれない」
と、この未知の物質に急遽「ペニシリン」という名前をつけました(青カビの属名がペニシリウムだったため)。
結果的にペニシリンは、ブドウ球菌だけではなく肺炎球菌や淋菌などにも良く効くことが立証され、数百万人数千万人の命を救う抗生物質の発見に結びつくことになるのです。
旅行から帰ったフレミングがシャーレを洗浄してしまっていたら、世界の薬事情はまったく違ったものになっていたというわけです。
今やなくてはならないポストイットは接着剤開発の失敗から生まれた
ポストイットはスリーエム社によって開発されました。
ディスプレイのまわりにちょっとしたメモを貼っておいたり、
調べ物をしているときに本のページに貼っておいたり、
会議のときにホワイトボードに一時的にみんなで貼り付けたり
と、今や全世界のオフィスや家庭で使われています。
しかし、この商品も「ポストイットなるものを開発せよ」という指示で開発されたのではなく、
もともとは失敗から偶然生まれたものでした。
スリーエムの研究所である接着剤の開発が進められていました。
研究員のひとりであるスペンサー・シルバーは試行錯誤の上である試作品を作りましたが、
できたのは「すぐにはがれてしまう接着剤」でした。
接着剤の研究所ですからこれは見事な失敗です。
通常であれば隠そうとするところですがシルバーはこれを社内に流しました。
それから約1年後、シルバーの同僚が日曜日の教会に赴いたときのこと、聖歌隊のメンバーだった彼は歌集にしおりをいくつか挟んでおいたのですが、開いた拍子にしおりがすべり落ちてしまい皆の注目をあびることになってしまいました。
そのときです。
彼は「シルバーの失敗作が使える」と直感します。
この瞬間、
「すぐはがれてしまう失敗作」は
「世界で使われる文房具」
として生まれ変わったのです。
このように、
失敗とおもっていることも角度を変えてみると、
その裏には「大きな可能性を秘めている」
ことがあります。
失敗とか成功とかに右往左往するのではなく、むしろ視野を広げて冷静に出来事を見極めてセレンディピティに気づくことができるかどうかが大切なのです。
セレンディピティというと「偶然」を強調する方も多いですが、私はその偶然も視野と冷静さが呼んでくるものと思っています。
以前ベストセラーになった「マーフィーの法則」に次のような一節があります。
「ある人のエラーは別の人のデータである」
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「研究は完全無欠な条件の中で行う」という実験室や
「接着剤なのだからつかなければ価値がない」という研究室で
暮らしているとついつい他の視野を失ってしまいがちですが、常に多角的な視野を持つことが大切です。
うまくいかないときに参考にしていただけるとありがたいです、
最後に発明王エジソンの母、ナンシーのことばです。
「失敗を伴わない成功は単なる偶然に過ぎません。
だから私はトーマスの失敗を1度たりとも叱ったことがありません。」